アーユルヴェーダの目的は自分に気づくこと


アーユルヴェーダで最も大切にしていることの一つは「自分に気づく」ということです。自分の体質(自然体)を知ることは、自分に合った生き方、健康維持促進、身体の不調和の予防にとても重要です。同じ肉体であっても人其々特徴や傾向が異なるように、かかりやすい身体の不調や予防の方法が違って当然ということになってきます。自分だけに合った健康法を知ることは、これからの人生を、より豊かで幸せに生きるために大きなメリットになりますアーユルヴェーダの教えは、5000年以上も前から現代に至るまで一貫として中身を変えずに後世から伝えられてきました。その教えは2500年前に登場したお釈迦様が説いた教えや6000年前から存在していたと言われているヨーガ理論と共に現在でもインドやスリランカでは人々の生活に深く根付き、よりよく生きる為の智慧として受け継がれえています。

代表的なアーユルヴェーダ2大古典医書

アーユルヴェーダ古典医書と呼ばれる書物には大きく2つあります。チャラカサンヒターとスシュルタサンヒターです。サンヒターとは辞書や辞典という意味です。つまりチャラカが執筆した本、スシュルタが執筆した本という意味になります。しかしチャラカサンヒターに関しては、実際にチャラカが執筆したものではなく、アートレーヤ仙の6人の弟子のひとりであるアグニヴェーシャが執筆しチャラカがそれを改正、その後、ドリダバラが編集したものが現在、チャラカサンヒターとして残されています。ちなみにチャラカは内科、スシュルタは外科に関する内容をまとめています。アーユルヴェーダ大学の医学生たちもこれらから知識を学ぶそうです。

チャラカサンヒター(内科)

スシュルタサンヒー(外科)


スリランカAVの定義

スリランカのアーユルヴェーダの魅力は、シッダ医学(インド)、ユナニ医学(ムスリム)、土着医療(ディーシィーヤチキッサ)を統合してアーユルヴェーダと考え、幅広い視野でケアに取り組んでいるところです。更に魅力的な要素は仏教との関わりが深いところです。アーユルヴェーダの発症は5000年前のインドだと古典に記載されています。その後、約2500年前に僧医によってインドからスリランカにアーユルヴェーダが伝わりました。僧侶によってスリランカ全土にアーユルヴェーダが伝わったことで、人が幸福に至るための仏教思想がアーユルヴェーダに融合されたのがスリランカのアーユルヴェーダの特徴でもあります

「すべの希望は満たされる」この言葉はスリランカ人が相手に対して感謝と幸せと願い伝える言葉だそうです。

 


12の専門分野

スリランカやインドなどのアーユルヴェーダ医療の現場では、12の分野(内科、外科、耳鼻咽喉科、眼科、産科婦人科、小児科、栄養学科、若返り科、老人科、精神科、毒物科、性科学科)に分けれて専門医師が人々の健康をサポートしています。日本では、あくまで治療目的ではリラクゼーションを目的としてセラピストが中心となりアーユルヴェーダの知恵の一部を提供しているのが現状です。一部、日本の医師免許をもつDr.がアーユルヴェーダを医療として実践されているクリニックもあります。日本で医療として実践される場合、各専門医という立場よりかは12分野を統合して治療されていることが多いようです。

トリートメントの体系及び流れ

【前処置法】

アーユルヴェーダの治療体系には、大きく3段階に分けることができます。①前処置法、②中心処置法、③予後処置法の3つです。前処置法は、病気の治療の準備として行う方法と健康維持促進を目的として行われます。予防医学の位置付けとしても大きな役割を果たすアーユルヴェーダにとって前処置法は大変重要であり、人々の日常生活にも根付いているセルフケアがたくさんあります。ちなみに油剤法とは一般的にはオイルマッサージを指し、個人の体調、体質に合わせた薬草オイルが使用されます。発汗法とは、汗を意図的にかいて体内の老廃物を排出することが目的ですが、油剤法とセットで行われることが殆どです。油剤法と発汗法を組み合わせて行うマッサージのことをアビヤンガといいます。前処置法では消化剤法も大切なケアです。治療を目的とした場合、中心処置法(パンチャカルマ療法)の効果を高めるために必須として行われ体内毒素の排出させることを促進します。また前処置法は中心処置法を準備として約2週間から3週間を要します。

【中心処置法と予後処置法】

中心処置法とは治療を目的として実施され、アーユルヴェーダ医師のみがケアにあたることができます。中心処置法はサンスクリット語ではパンチャカルマとよび、5つの療法という意味になります。名前の通りパンチャカルマには5つの方法があり医師は5つの中から患者に必要な手法を選択して行います。主には上部、下部に分け腹部、胸部、鼻腔、血中を中心に前処置法によって集められた老廃物を排出していきます。最後に予後処置法とは、中心処置で消耗し体力を回復させ正常な状態に戻していきます。前処置、中心処置、予後処置までは個人差はありますが最低約3ヶ月かけて一応の体系が完了します。予後処置が終了したあとも再発、予防を目的として日常生活でのセルフケアを続けることは大切です。