時間とトリドーシャ

トリドーシャ(ヴァータ、ピッタ、カパ)は私たち肉体を含むすべての物質に存在します。私たち肉体は物質である太陽や月、雨や風などの影響を受け、それらによっても肉体におけるドーシャは変化しています。1日の中でも気温や酸素濃度、気圧などがトリドーシャに影響を与え、時間帯によって各ドーシャの優勢に傾向として存在するようになります。自分自身と時間帯のドーシャの優勢を知ることは調和のとれた生活スタイルが送りやすくなり、不調和の予防になります。

ヴァータ優勢時間の特徴

① 02:00〜06:00


夜中の2時を過ぎると逆に眠れなくなることがありますが、その理由の一つとしてヴァータのエネルギーの影響を受けるからだと考えられます。また、特に2時〜4時くらいの間によく目が覚めてしまうという場合もヴァータの影響を受けて起きてしまう可能性があります。特にシングルヴァータの方や日中過度な緊張状態にある場合は特にヴァータエネルギーの影響を受けなかなか熟睡できないということがあります。寝る前にホットミルクを飲むなどカパの質を高めてから床についたり、呼吸法を行うことでヴァータ時間の『動きのエネルギー』の影響を最小限に抑えて眠りを助けしてくれます。

② 14:00〜18:00


ヴァータ優勢時間帯は動きのエネルギーが高まります。過度な行動は疲労感が増し体力が続がないということがあるかもしれないません。また嫌なことで忙しくしていると集中力が低下したり注意散漫になりやすくイライラしたり心が落ち着かなくなるようなこともあるかもしれません。3時のおやつに甘いものをほっするのは、高まったヴァータを調整するために甘い質(カパ系)の食べもので鎮静しようとする働きによるものだと考えられます。


ピッタ優勢時間の特徴

① 22:00〜02:00


深夜のピッタ時間は情報の変換作業を行います。1日に得た情報の整理、処理、記憶するために必要な時間帯です。ピッタの時間帯に入る頃に就寝することで充分に記憶の変換時間をとることができます。試験前日に早く寝ることのメリットは学習した情報が記憶として根付きやすくなるからだと考えられます。

 

② 10:00〜14:00


日中のピッタ優勢時間は消化力がいちばん高まる時間帯です。消化に時間のかかるようなカパの質を多く含む食事(肉系、油物など)は未消化を防ぐという観点からできるだけピッタ優勢時間に摂るという方法があります。


カパ優勢時間の特徴

① 18:00〜22:00


カパ優勢の時間帯は消化力が低下しやすくなります。夕食はできるだけ早めに(20時くらいまで)済ませることで未消化を防ぎます。また量は少なめにし油物や肉系といった重たいカパの質を多く踏む食材や冷たい飲み物は控え野菜を中心とした軽い質の食がよいです。

カパ時間は身体が重だるくなりやすい時間でもあります。特にカパタイプの方は影響を受けやすくなるので軽めの体操やヨガストレッチなどで身体を動かしてあげると気持ち良く過ごせるでしょう。さらに冬場になると環境の『冷』の質により『冷』の質を含むカパは身体を冷やしがちになるので、特にカパ時間は入浴して身体をしっかり温めるとよいです。ただし長湯は逆にカパを悪化させてしまうことがありますので入浴時間には注意が必要です。

② 6:00〜10:00


カパ時間に入ると重いの質の影響により、遅めの起床は1日の始まりの動きを愚鈍にします。起床はブラフマムフルタ時間(太陽が昇る時間/ヴァータ優勢時間)に起きることで肉体的にも精神的にも1日が快適に過ごしやすくなります。前日の深夜帯に食事を摂っていなければ胃の中は既に消化され早朝カパ時間には空腹状態になっているので朝食は1日の中でも量は多く栄養をたくさん摂りエネルギーを蓄えます。ただしカパ時間の消化力は高くはないので、できるだけ野菜や果物中心に多くとることをお勧めします。


季節とトリドーシャ

冬優勢・ヴァータ

 

ヴァータエネルギーが優勢となる季節は秋の後半から冬です。ヴァータタイプの方は特に冬場の寒さは絶え難い季節かもしれません。逆にピッタの方は案外寒さに耐え忍ぶことができる傾向にあります。この時期は『冷、乾』の質が高まり肉体的にはお肌の乾燥や便秘、また条件によっては動きのエネルギーの悪化が加わり高血圧や心筋梗塞、女性であれば生理不順に悩まされる方が増えることがあります。精神的には気が変わりやすさや気持ちの浮き沈みを多く経験する場合があります。この時期に大切なことはできるだけ身体を冷やなさいようにすることです。冷たい飲み物は食べ物も減らして温かいものを取り入れるようにします。カフェインやビールの飲み過ぎにも注意します。これらはヴァータを増加します。

 


夏優勢・ピッタ

夏の季節を中心にピッタエネルギーが高まります。この時期は火のエネルギーが増大します。夏バテとよく耳にしますがアーユルヴェーダの考え方から夏バテを説明すると本来身体はピッタが優勢となり消化力が増しlちて正しい食生活を送っていれば老廃物は溜まりにくいと考えます。しかし近年の気温の上昇と共に暑さに対応するように『冷』の質を含む食べ物、飲み物に過剰摂取、または冷房による身体の冷え、屋内と屋外の温度差を頻繁に行きかうことによる自律神経乱れ。これはヴァータの機能を低下させます。ヴァータの悪化よって消化力の低下または発汗作用がうまく働かず体内にこもった熱が体外に発散させることができなくなります。このような条件が重なり夏バテと言われるような不調和を起こしてしまいます。大切なことは充分な水分普及を冷水ではなく常温に変えることや冷たい食を減らすこと、適度な部屋の温度調整が必要です。夏の不調和はピッタの悪化よりヴァータを原因とするものが多いためヴァータの調整が不可欠となるでしょう。


春優勢・カパ

カパエネルギー優勢の季節は春と梅雨にあたります。3月は冬の間に蓄積された体内の不要物が春温かくなる季節に溶け出し体外に流れ出してくるというアーユルヴェーダの考え方があります。そのよくある例が鼻炎です。春先になると花粉症による鼻炎で悩まれる方も多いのはこのためです。そしてカパはパンチャブータ(五大元素)の内、水と地で構成されていることから特に『水』の構成要素として鼻水や痰など粘液系と関わりのある症状を訴えやすいのも春の特徴です。また秋から冬の間の不規則な生活による免疫力の低下と合わせて花粉症による鼻炎にかかりやすくなるという結果を生みます。更に条件によってはカパエネルギーの影響でメンタル的に落ち込みやすく愚鈍になったり鬱的症状になる場合もあります。春に自殺者が増える要因の一つとして考えてもおかしくないかもしれません。本来、身体が正常であればカパは免疫力を高め身体を強く鍛える働きがあります。しかし過剰なカパを増大させる食事や長時間の睡眠、怠惰な生活は逆にカパを悪化させることになります。よりよく春を過ごす為には免疫力を低下させないことが最も大切です。そのためにの一つが消化力を低下させない、あるいは消化力を高める食生活を送ることです。もう一つ、カパエネルギーが増大する時期があります。それが梅雨です。先程も述べたようにカパは『水』の構成要素を含みます。梅雨に降る雨がカパエネルギー高まり体内のカパが増えます。この時期になると元々カパタイプの方は頭痛や血圧の低下による不調を悩まれるケースが増えます。