トリドーシャ

(3つのエネルギー)

トリドーシャとは、身体の状態を理解し説明するために五大元素(パンチャブータ)を3つに分類したエネルギーです。

ヴァータ(空+風)


ヴァータは主に『動き』を担当します。筋肉・心拍・神経反射・排泄など肉体の動き全般を担います。ヴァータが悪化すると動が鈍くなったり不規則になります。またストレスからくる身体の不調和や精神的な不安定もヴァータの影響が多いです。

ピッタ(火+水)


ピッタは主に代謝、消化を担当します。あるモノからあるモノに変換したり整理する機能としてはたらきます。胃や十二指腸、肝臓などで食べたものを栄養に変えたりエネルギー代謝を行います。

カパ(水+土)


カパは主に『形成』を担当します。肉体を強くしたり免疫機能の役割を担い、身体の成長や回復に関係しています。粘着性がありモノとモノを繋ぎ合わせる質があります。


3つのドーシャの質(Guna)


3つのドーシャには其々質(Guna)が存在します。質はすべての物質の中にあり20種類の質が各ドーシャに作用しています。質は単独では存在せず、類似する数種の質が集合して作用します。20種類の質には、重い、軽い、速い、冷たい、熱い、油性、乾燥、鋭い、粗い、固い、液体、柔らかい、安定、流動性、微小、大きい、透明、粘性あります。

ヴァータの質


軽い・速い・冷たい・乾燥・粗い

ピッタの質


軽い・熱い・鋭い・液体・流動性

カパの質


冷・油性・固い・柔らかい・安定・粘性


ドーシャと感覚器官


感覚器官や感覚の対象にもトリドーシャと関わりがあります。感覚器官とは目、鼻、口、耳、皮膚にあたります。感覚の対象とは光や色、臭い、味、音、触です。例えばヴァータに異常かあれば耳が不調となり音を正常に認識しづらくなります。ピッタに異常があれば目が不調和となり光や色が認識しづらく視力の低下にもなるかもしれません。カパに異常があれば鼻腔が不調とり臭いを正しく認識しづらくなります。これは各感覚器官がドーシャの構成要素である五大元素によって成り立っていることを意味します。ドーシャと感覚器官の関係性を知ることは私たちの日常生活をより豊かにするための大きなヒントになります。何故なら不調和の根本的原因の1つとに感覚器官の使い方にあるとアーユルヴェーダでは考えるからです。

余談ですが、人間の誕生と死には感覚器官の共通性があります。精子と卵子が結合して最初に作られる感覚器官は聴覚だと言われています。次いで触覚、視覚、味覚、臭覚の順番に作られます。そして人間の死は誕生とは逆に臭覚から順番に味覚、視覚、触覚、最後に聴覚の機能を失っていきます。人は死ぬ直前に声を掛けると反応するのは最後まで機能している器官器官が聴覚だからだと考えられます。

各ドーシャが主として集まる部位


トリドーシャは身体全体至る所に存在します。全ての物資が五大元素(パンチャブータ)で構成されているように肉体も、そして肉体を構成している組織も、さらに組織を形成している細胞も五大元素によって構成されています。では何故同じ要素で構成されている物質の色や形、硬さなど見た目や臭い温度が異なるのか。それは各物質を構成している五大元素の割合が違うからです。つまり優勢エリアが存在するからです。トリドーシャの中でも特にヴァータが優勢に働いている場所、ピッタが優勢に働いている場所、カパが優勢に働いている場所があります。実際には身体を大きく3つの箇所に分けた場合、肺や心臓から上部はカパが優勢に働いており腹部周辺、肝臓、十二指腸、膵臓が位置する場所でピッタが優勢に働いており、下腹部辺り、直腸や生殖器でヴァータが優勢に働いています。ただし先程述べたように決して一つのドーシャだけで構成され働くということはありえません。必ず優勢に働いているドーシャと他のドーシャが其々に必要な役割を果たしながら存在をしています。

サブドーシャ

次にサブとして優勢に働いているドーシャです。身体全体を大きく3つの箇所に分けたときに中心として働いているドーシャエリアの中にも各組織の機能に合わせて別のドーシャが優勢として存在します。例えば胃はピッタ優勢エリアですがヴァータやカパも同時に存在しながらピッタが正常に働くことを支えています。何故なら胃は消化活動を最も重要な役割と機能するため消化の火であるピッタが優勢として必要になります。しかし、ピッタの働きだけでは消化の火が強すぎて胃を溶けしてしまいます。そのためにカパがピッタの火の調整役となり胃液として働きます。しかしピッタとカパの働きだけでも不十分です。消化した食べ物を胃から小腸、大腸へと移動させなければなりません。そのためにヴァータの『動』の役割が必要になってきます。このように各組織にはメインとして働くドーシャとそれを支えるドーシャが共に共存しながら肉体が正常に機能する役割を果たしています。

サブヴァータが存在する部位


サブピッタが存在する部位


サブカパが存在する部位


AV発祥時期に示す各ドーシャ別不調和の数


約5000年前に記されていた各ドーシャ別不調和の数はヴァータが80種、ピッタが40種、カパが20種でヴァータが一番多い。

割合的にもヴァータが約7割を占めており、ヴァータをコントロールすることが健康を維持、促進のために一つの方法であることがわかります。ヴァータの悪化はピッタ、カパに直接的にも間接的にも影響を与えやすい考えます。